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条件に沿って選考が進められ、結局、ミリオンの銀行系カード会社3社が残った。
なぜこの3社が選ばれたかというと、母体行がS銀行、S銀行、T銀行で、それぞれTの取引銀行でもあったからだ。
Tとすると、住銀系のSクレジットでも、M系のDCでも一向にかまわなかったとい「しかし、ポイントシステムを開発するなど資金的なご負担もお願いしなければならなかったわけですから、その際、取引銀行の系列ならいろいろお願いしやすい事情もありました」(T・M係長)というのが、最大の理由だった。
資金的に融通のきくところ、わがままの言える相手といってもいいだろう。
選ばれたカード会社3社側からすると、世界に冠たる大メーカーとの提携なので、そのメリットは計り知れないものがあると予想した。
それにバブル崩壊後、クレジットカード市場は伸び悩み、取扱高も前年割れといった状況があったため、大量の拡販の見込める新カードには大きな期待を寄せた。
UCの担当者として交渉にあたった提携事業部・I次長は、「最後で最大の提携カードは、NTTかTといわれていましたから力が入りました」と話し、交渉の場でも緊張を隠せなかったという。
カード会社にとっては、まず、T車両販売店、レンタリース店374社の営業所のネットワークが魅力に映った。
そのすべてが加盟店として加わるわけだから、加盟店数も飛躍的に増える。
また、FUPカードは稼働率が高くなると予想されるので、一般加盟店の活性化にも結びつく。
さらに、銀行系カード会社はこれまでは会員獲得を母体行の行員に頼るしかなかったが、Tカードでは、全国のT営業マンが会員獲得に手足となって走り回ってくれる。
心強い援軍となるはずであった。
「最初の3年間はシステム構築などの初期投資で利益の吐き出しで赤字になることは覚悟のうえです。
それでも優良会員が獲得できるし、加盟店は増加し活性化する。
将来はきっと実を結ぶと考えました」(DOI次長)I次長によると、Tから最初に話があったのは、発行の1年前の93年末だったという。
Ucの母体行の一つのさくら銀行がTの取引銀行であったために、かなり早くから接触はあったようだ。
「T側ではコンセプトが固まってから、事業計画に沿って各社に呼びかけたと聞いています。
そのアプローチにも2段階ありました。
『最初はこんなカードを考えているんだが、何かアイデァはないのか』というもので漠然とした投げかけでした。
その後、実際につくり上げていく段階に入りました。
しかし、Tは言われているより、ずいぶん素早い対応でした。
手本としたGMカードがスタートしたのが92年、GMカードが1OOO万人の加入者を得て大成功といわれるようになったのが93年。
その情報を得るとすぐに準備に入り、スタートしたんですから、少しもタイムラグはなかったといえますね」(I次長)最終的にまとまったTカードのスキームは次のようなものであった。
採算的にも十分にやれる」(T・M係長)との判断から決まった。
ポイントの蓄積期間は5年間に落ちついた。
現在、メーカーはクルマのローテーションを約6年と定めている。
新車を購入して車検を2回受けると、ちょうど5年間になる。
また、長期間にわたるとカード利用データ保存のためのシステム負担が大きくなるデメリットがある。
かといって、あまり短期にすると、キャッシュバック額が小さくなりカードの魅力を損ねる。
そういう観点からも5年間が妥当となった。
また、それぞれの役割分担については、T側が会員募集とPR業務を担当、与信や回収などのカード業務はカード会社がそれぞれ受け持つことになった。
キャッシュバックについては原則としてカード会社が負担し、その原資はカード売上高の1・15%を提携協力費として、T側に拠出することで合意された。
さらにもシートベルト保険の掛け金など経費に1%を払うために、加盟店手数料の3%のうち、確実に持っていかれる計算となる。
一般のカードに比べると収益は3分の1も見込めないから、採算を維持するためには3倍の会員を獲得する必要があった。
ところで、Tの本拠地・名古屋の東海銀行を母体とするミリオンカードは、Tカードには遅れて参加したといわれている。
Tとすれば、最初はーCBとUCとの2社との提携で十分と考えていたようだ。
ところが、Tのもう1つの取引銀行である地元の東海銀行が、系列のミリオンカードも加えるように猛烈な運動を展開しだした。
ミリオンカードは銀行系カード会社の中でも小規模だったために、会員数、加盟店などの条件で選考に残れなかったが、「地元のカード会社を外すのはけしからん」という商工会議所をはじめとする地元財界からの強力な圧力があったらしい。
「発行前の準備は相当にあわただしかった」と、ミリオンカードの担当者のS首都圏営業部副部長は当時を振り返っている。
「とにかく顔を知ってもらうことが先決でしたので、毎朝ディーラーの朝礼に出席しました。
JCB、UCさんと条件は全く同じですから、違いを出さなくてはいけません。
私の顔とミリオンカードを覚えてもらおうと必死でした」実際の準備は94年9月から始まり3〜4カ月かけて全国のディーラーにCATの端末を入れた。
さらに、営業マンは全国のディーラーに出向いてカードについての知識を伝え、扱い方を指導。
そのうえ、キャッシュバックの仕組みやポイント換算の内容を描いたビデオを制作して全国のディーラーに配付したという。
ビデオまで制作したのはミリオンカードだけであった。
ミリオンカードがここまで力を入れた理由は、Tカードとの提携が全国区のカードとして飛躍するためのチャンスと見ていたからだ。
ミリオンカードは銀行系カードとしての歴史はあるが、名古屋を中心とした中京地区のカードのイメージが強い。
それを一新し全国に轟くカードとなるためにも、Tカードとの提携はぜひとも成功させねばならなかった。
そして、95年1月にいよいよTカードが発行された。
最初は不安気だったミリオンカードのスタッフたちも、すぐに明るくなった。
当初から問い合わせや申込みの電話が殺到し、最高8000件を記録した日もあった。
同社ではあわてて本社のワンフロアーを借り切って、カードをつくるパンチャーや記入項目をチェックする要員など総勢100名以上を動員した。
これが3週間も続いたというからすさまじい。
ミリオンカードの場合、95年1月の時点で会員総数は500万人であったが、Tカードをスタートさせてl年半後にはTカード会員だけで50万人の上積みがあった。
わずか1年半でl割も増やすことができたわけだから、会員増にこのカードがいかに強力な武器になるか改めてわかったという。
Tカードにおける提携カード会社3社の会員獲得数の割合は、CBが47%、ミリオンは28%、Ucが25%となっている。
先頭を走る1CBを追い上げるミリオンの健闘が際立つが、ミリオンはライバルをJCBとは見ていない。
むしろ、ターゲットはUCに設定しており、対抗意識むき出しでカード営業を進めている。
というのは、ミリオンとUCは同じく、マスターの加盟店を持つため、利害が直接にぶつかるからである。
利用者もJCBはすんなり選んでも、UCとミリオンはどちらもマスター付きなのでどちらにしようか迷うはずだ。
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